Niki de Saint Phalle
ハロウィンが終わったと思ったらもうクリスマスの足音が聞こえてくる今日このごろ、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、NMCの先輩であるふゆこさんと住川さんの結婚パーティー(二次会)に
招んで頂いて、参加した翌日。
新国立美術館でニキ・ド・サンファル展に行ってきました。
ニキがこんな美人だったなんて知らなくて、
かなりびっくりした。
射撃絵画の制作で、ライフルをぶっ放すNikiは本当にイイ顔をしている。
作品展そのものは、初期の作品から、シュルレアリスムの影響を受けた各作品、
代名詞とも言えるナナ、その後の集大成であるタロット・ガーデンまで
網羅したうえで、日本におけるNikiの一番の理解者であるYoko増田静江との関係性についても紹介してあります。
Nikiを知っていた人も、殆ど知らないような人も、
楽しめる内容でした。
彼女の作品は、「全く新しい彫刻」「既成概念をぶちこわす芸術」
などと云われている時があるんですが、
どちらかと言うとそういった既成概念を、
自分の表したいことを表すために積極的に利用している印象を持ちました。
むしろ、「正統なる継承者」という感じ。
分かりやすかったのはモチーフの扱い。
最たるもので言えば蛇ですが、
もう、蛇といえばキリスト教ないし聖書に関係のある
宗教を信じている人間からしたら押しも押されもせぬ一大モチーフですよね。
その蛇を、彼女は何度も何度も、時には恨み恐れる父親を表すものとして、
時には生命力の象徴として、かなり幅広い事象を蛇というモチーフに
仮託する。
古いモチーフを重用しているとも取れるんだけど、
実際は、その蛇と彼女の間には幾通りもの関係性が
個別に結ばれていて、その在り方は見る者が反射的に
思い浮かべる"蛇"の物語を超えている。
ただしそのモチーフが持ってるもともとの想起性は当然活きているので、
見る人がNikiの表現にいとも簡単に飲み込まれる。
そしてそのようなモチーフの正統かつ特別な運用を目の当たりにした上でなお、
作品から強く感じられるのは、彼女自身の身体性、欲望、意思であったように思う。
彼女が表したいのが常に彼女自身、彼女の世界であったためか。
どんなカタチにしたくて、どんな色が塗りたいのか。
今、私はどんな蛇が描きたいか。どんな大きさの蛇を、どんなポーズでつくりたいか。
そういった工程の手触り(に関する妄想)を、私は彼女の作品に見ていました。
本当はコンセプトガチガチで全然そんなことなかったかもしれないんだけど、
あー絶対このときのNIKIはこういう線を引いて沢山お花を描きたかったんだな、
という気持になれる。
それくらいひとつひとつの形、色彩が素晴らしくて、
Nikiが難しいことはなんにも考えてなかったらいいのになと思う。
無邪気で真剣で奔放で夢中になってほっぺに絵の具付けてて繊細で、
自分が愉しくない時は明るい色は塗れない、好きな作品の影響はすごくわかりやすく受ける、可愛くて大好きで天才なNIKI!
そういう夢を見せてくれる芸術家だな、と思います。
あと彼女の本名には全然Nikiに繋がりそうな要素(ニコラとか)がないのもイイ。
では皆様また次にお会いするときまで!